特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一/千葉県松戸市)は、2026年8月26日、カンボジア王国シェムリアップ州のMy Happy Village Cambodia Schoolにおいて、茨城県立守谷高等学校の生徒が制作した「なかよしクイズカルタ」を活用した授業を実施しました。

守谷高校のなかよしクイズカルタで世界を学ぶカンボジアの生徒たち
カードの表面には、日本の高校生が世界や日常の自然現象をもとに考えたクイズを日本語と英語で記載し、裏面には答えと解説を掲載。出題する人と答える人を固定せず、生徒も先生も交代しながら参加できる、シンプルで双方向性の高い教材です。
カンボジアの教室では、子どもたちが友達と相談しながら答えを考えるだけでなく、先生がカードを手に取って出題したり、答えの背景を説明したりする姿が見られました。「教える側」と「教わる側」が一方向に固定されない教材として、現地の教員からも高い評価を得ました。
守谷高校の生徒たちがつくった小さなカードは、国境を越え、カンボジアの教室に「問い、考え、説明し合う学び」を生み出しました。
「何を知っているか」から「どんな問いをつくるか」へ
守谷高校では、なかよし学園の「世界とつながる学び」を取り入れ、総合的な探究の時間を活用したグローバル探究に取り組んでいます。
これまでの学校教育では、教師や教科書が提示した問題に対し、生徒が正解を答えることが学習の中心になりがちでした。しかし、クイズカルタの制作では、生徒自身が「問いをつくる側」になります。
生徒たちは、世界の国々、自然、人体、科学、環境、文化、日常生活の中にある現象などからテーマを選び、次の点を考えながら一枚のカードを制作しました。

守谷高校での探究授業の様子
世界の子どもたちも興味を持てる問いになっているか国や文化が違っても共有できる「普遍的な事象」であるか答えだけでなく、理由や背景まで分かりやすく説明できるか日本語を母語としない人にも伝わる英語やイラストになっているか情報源を確認し、正確な内容として届けられるか
クイズをつくるためには、まず自分がその内容を深く理解しなければなりません。そのうえで、必要な情報を選び、問いと答えに整理し、異なる文化や言語を持つ相手に伝わる形へと編集する必要があります。
クイズカルタの制作は、知識の暗記にとどまらず、情報収集、事実確認、要約、英語表現、デザイン、他者理解を一つの活動に統合する探究学習となりました。

作成されたなかよしクイズカルタ
答えを見るまで終わらない--「説明」が次の学びを生む設計
守谷高校のクイズカルタは、表面の問題に正解することだけを目的としていません。
カードを裏返すと、答えとともに「なぜそうなるのか」という説明が書かれています。答えを知らなかった人も、その場で新しい知識を得ることができ、知っていた人は、自分の言葉で友達へ説明することができます。
今回のカンボジアでの授業では、生徒たちがカードを囲み、問題を読み、互いの考えを出し合いながら答えを探しました。先生も子どもたちと同じ輪の中に入り、カードを使って出題や解説を行いました。
そこにあったのは、先生だけが知識を持ち、生徒へ一方的に教える授業ではありません。
生徒が答える。
生徒が問題を出す。
先生が一緒に考える。
先生が答えの背景を説明する。
次は別の生徒が出題者になる。
一枚のカードを介して、教室の全員が「学ぶ人」であると同時に「教える人」になりました。

生徒たちがそれぞれクイズの回答者と出題者に代われる授業を展開
電気も特別な機材も必要としない「持続可能な教材」
クイズカルタの大きな特徴は、そのシンプルさにあります。
紙のカードがあれば実施できるため、電力、インターネット、タブレット端末、プロジェクターなどの設備を必要としません。通信環境や教育設備が十分でない地域でも、繰り返し授業に活用できます。
また、世界や自然、人体、科学といった普遍性の高いテーマを中心にすることで、特定の国や時代だけに限定されず、異なる国の子どもたちと共有できます。

生徒同士が出題者と回答者を入れ替え学び合う
教師も一緒になってこのプロジェクトを行った
クラス全体が教え合う、学び合いを行う
守谷高校生徒が作成したクイズカード
さらに、基本的な形式は「表面に問い、裏面に答えと説明を書く」というものです。現地の先生や生徒が同じ形式で新しいカードをつくり、自国の自然、文化、歴史、災害、生活に関する問題を加えることもできます。
日本から完成品を渡して終わるのではなく、現地の学校が使い続け、つくり直し、増やしていけること。これが、守谷高校のクイズカルタが持つ教育的な持続可能性です。

生徒一人一人がそれぞれ違ったクイズを作成した
SDGsカルタから始まった、守谷高校の世界への挑戦
守谷高校となかよし学園の取り組みは、SDGsをテーマにしたカルタ制作から始まりました。
生徒たちは、環境、食、貧困、ジェンダー、紛争と平和など、自分が関心を持ったテーマをもとに読み札と絵札を制作。その教材は、カンボジア、ケニア、シリア、ルワンダなど、なかよし学園が活動する世界各地の教育現場へ届けられてきました。
ケニアでは環境や持続可能な社会を考える授業に、シリアでは戦争を経験した学生や子どもたちとの平和学習に、ルワンダではジェノサイド後の未来を考える教育に活用されました。カンボジアの避難民支援でも、厳しい環境に置かれた子どもたちが遊びながら学べる教材として使用されています。
こうした海外実装の様子は、写真、映像、感想、現地からのメッセージとして守谷高校へ返されます。
生徒たちは、自分たちが授業で制作した教材が、実際に世界の誰かの手に渡り、教室で使われていることを知ります。学校の中だけで評価される課題ではなく、世界の現場で試され、役に立ち、その結果が自分たちへ戻ってくる学習です。
従来のSDGsカルタで培われた「社会課題を分かりやすく伝える」という経験は、今回の「問いを通して世界と学び合うクイズカルタ」へと発展しました。

シリアで活用された「なかよしカルタ」の様子
SDGsカルタを使った活動の様子
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000166170.html
ACUNS国際学術会議でも、日本発の実践教材として紹介
守谷高校のカルタを含む、なかよし学園の「世界とつながる学び」は、国連システムに関する研究者、実務家、政策関係者が集う国際学術ネットワークACUNS(Academic Council on the United Nations System)の国際学術会議でも実践事例として紹介されています。

国連ACUNSで発表するなかよし学園中村雄一代表
2026年7月にポルトガル・リスボンで開催された第39回ACUNS Annual Meetingでは、なかよし学園が「Cultivating Grassroots Multilateralism through Education - The CoRe Loop Model as a Research-Policy Tool」をテーマに発表。日本の教室で生まれた教材を海外で実装し、その成果を日本の学校へ返す教育モデル「CoRe Loop」を、草の根の多国間協力を育てる仕組みとして提示しました。
会場では、日本の生徒たちが制作したクイズカード、防災カルタ、海洋プラスチックを再利用したフライングディスクなどを展示。世界各国の研究者や実務家が実際に教材を手に取り、その活用方法や海外展開に強い関心を示しました。
高校の探究授業で生まれた一枚のカードが、海外の教室で使われるだけでなく、国際的な教育・平和構築の議論における実践事例にもなっています。

国連ACUNSで発表された「なかよしクイズカルタ」
「届けて終わり」ではない、CoRe Loopによる探究学習
なかよし学園では、日本の学校で生まれた学びを世界へ届け、その反応を再び日本へ返す循環を「CoRe Loop」と呼んでいます。
今回のクイズカルタも、次の循環の中で実践されています。
Create:守谷高校の生徒が世界や自然について調べ、問いと解説をつくる
Deliver:なかよし学園が教材をカンボジアをはじめとする海外の教育現場へ届ける
Co-create:現地の生徒と先生が、出題者・回答者・解説者となって一緒に活用する
Return:授業の写真、動画、反応、改善点を守谷高校へ持ち帰る
Expand:海外での結果をもとに教材を見直し、次の探究や新しい国での実践につなげる
この循環によって、探究学習は発表会で終わりません。生徒がつくったものが世界で使われ、現地の反応によって再評価され、次の問いへと発展していきます。
「自分たちの学びは、世界の誰かとつながることができる」
その実感が、生徒の自己効力感を高め、世界の課題を自分事として考える次の行動につながります。

カンボジアの子どもたちにプレゼントされた「なかよしクイズカルタ」
なかよし学園プロジェクト代表・中村雄一 コメント
「クイズで大切なのは、正解できたかどうかだけではありません。一つの問いを前に、子ども同士が相談し、先生も一緒に考え、知っている人が知らない人へ説明する。その関係が生まれることに大きな価値があります。
守谷高校の生徒たちは、自分が知っていることを披露するためではなく、遠く離れた国の誰かが『知りたい』『もっと考えたい』と思える問いをつくりました。そのためには、相手の年齢や文化、言語を想像しながら、自分自身も学び直す必要があります。これは非常に高度な探究活動です。
カンボジアでは、先生も生徒も楽しそうにカードを手に取り、出題する側と答える側を交代していました。日本の高校生がつくった教材が、現地の先生にとって『自分たちでも授業を続けられる教材』になった瞬間です。
教育支援は、教材を渡したときに完成するのではありません。現地で使われ、工夫され、学びが生まれ、その結果が日本の生徒たちへ返ってきたとき、初めて一つの循環が完成します。守谷高校の挑戦は、総合学習・探究学習が世界の教育を応援し、同時に日本の高校生をグローバルな学びの担い手へ育てることを証明しています」

カンボジアで活動を続けるなかよし学園
今後の展開
なかよし学園は、今回のカンボジアでの授業の様子や現地教員・生徒の反応を守谷高校へフィードバックします。
また、世界各地の学校でクイズカルタを継続して活用するとともに、現地の生徒や先生が自国の文化、 自然、歴史、生活課題をもとに新しい問題を制作できる「現地版なかよしクイズカルタ」への発展を目指します。
日本の高校生がつくった問いに、世界の子どもたちが答える。
次は、世界の子どもたちがつくった問いに、日本の高校生が答える。
守谷高校となかよし学園は、問いと学びが国境を往復する、新しい総合学習・探究学習を実践していきます。

世界各国と日本の学校を結ぶ「世界とつながる学びプロジェクト」
実施概要
教材名:守谷高校「なかよしクイズカルタ」
制作:茨城県立守谷高等学校 生徒
海外実施日:2026年8月26日
実施地:カンボジア王国シェムリアップ州 My Happy Village Cambodia School
主な内容:クイズへの回答、グループでの対話、生徒と教員による出題・解説、日英両言語を用いた国際理解学習
実施団体:特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
関連する海外実践地域:カンボジア、ケニア、シリア、ルワンダほか
国際発信:ACUNS Annual MeetingにおけるCoRe Loop実践事例として紹介
茨城守谷高校の「SDGsカルタ」が国境を越えて広げる平和の輪
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000166170.html
千葉県立船橋法典高校・茨城県立守谷高校で「世界とつながる学び」探究授業を実施
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000054.000166170.html
カンボジア・シェムリアップ州Chi Kraengの避難民収容寺院で教育・食料支援を実施
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000166170.html
なかよし学園、ACUNS国際学術会議で3回目の登壇
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000118.000166170.html
なかよし学園「CoRe Loop/世界とつながる学び」
https://nakayoshigakuen.org/coreloop

なかよしクイズカルタ
なかよしクイズカルタ
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトについて
なかよし学園プロジェクトは、「日本の学びで世界の学びを応援する」をテーマに、国内外で教育支援・平和構築活動を行うNPOです。日本の学校で生まれた教材、作品、地域資源、探究学習の成果を、海外の学校、難民キャンプ、紛争後地域、貧困地域などで授業として実装し、その反応を日本の教室へ返す「CoRe Loop」を展開しています。
公式サイト:https://nakayoshigakuen.org
本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人 なかよし学園プロジェクト 事務局
TEL:047-704-9844
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org