特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(所在地:千葉県松戸市、代表:中村雄一)は、2026年11月2日、岐阜県安八町立牧小学校において「世界とつながる学び」フィードバック講演会「3Re-Forum(Return, Reflect & Redesign)」を開催しました。また同日、養老町立高田中学校を訪問し、これまでの国際平和教育をきっかけに始まった生徒たちの新たな活動を確認しました。

牧小学校で行われたなかよし学園「3Re-Forum」講演会
安八町では、牧小学校の児童が育てたお米がカンボジアの難民キャンプで炊き出しに活用され、安八町教育委員会主催の「PEACEうちわ」はネパールやルワンダの学校へ。さらに東安中学校の合唱映像はウクライナやネパールで日本語・日本文化を紹介する教材として活用されています。
一方、養老町の高田中学校では、10月2日の創立80周年記念講演会を経て、生徒たちが普段の授業から世界へ届けられる学びを探す活動を開始。国際交流に強い関心を持った一人の生徒は、日本の四季や文化を紹介する折り紙の手紙を自主的に制作し、この日、なかよし学園へ託しました。
今回の講演では、なかよし学園が10月12日に開催された「EXPO FUTURES AWARD 2026」において、「平和と人権」部門グランプリとなるテーマ特別賞を受賞したことも紹介。全国50校超の児童生徒や教職員、世界11カ国のパートナーとともに築いてきた教育活動が評価されたことを、安八町の子どもたちと共有しました。
岐阜県の子どもたちが、地域での学びや自分の得意なことを使い、世界平和への具体的な一歩を踏み出しています。
■ 岐阜県から世界へ--「平和を願う」から「平和をつくる」学びへ
「世界平和のために、自分には何ができるだろう?」
この問いに対して、安八町と養老町の子どもたちは、それぞれの方法で答えを出し始めています。
お米を育てること。うちわをつくること。仲間と歌うこと。折り紙を折ること。どれも日本の学校では身近な活動です。しかし、それらを世界の誰かのために使おうと考え、実際に届けることで、日常の学びは国際協力や平和構築につながる行動へと変わります。
なかよし学園は、全国の学校で展開する「世界とつながる学び」を通じ、日本の児童生徒が制作した教材や地域資源を海外の教育現場へ届け、その成果を再び日本の教室へ還元する教育モデルを実践してきました。
岐阜県では、安八町の学校・教育委員会との継続的な連携に加え、養老町が大切にしてきた人権教育を世界へ届ける取り組みが広がっています。11月2日は、両地域の子どもたちが積み重ねてきた行動を振り返り、さらに次の平和活動へとつなぐ一日となりました。

安八町では防災教育を
養老町では人権学習を
■ 牧小学校のお米がカンボジア難民キャンプへ--地域の農業体験から命を支える国際協力へ
安八町立牧小学校では、児童が育てたお米が、なかよし学園を通じてカンボジアの難民キャンプへ届けられ、避難生活を送る人々への炊き出しに活用されました。
カンボジアの国境地域では、武力衝突によって避難を余儀なくされた人々への支援が必要とされています。なかよし学園は現地で教育活動を行うとともに、食料や生活物資の支援にも取り組んできました。
その現場で役立ったのが、岐阜県の子どもたちが育てたお米でした。
日本の学校では、米づくりは社会科や総合的な学習の時間、食育などの一環として行われます。田植えや稲刈りを体験し、地域の農業や食の大切さについて学ぶことは、それ自体に大きな教育的価値があります。
しかし牧小学校の取り組みは、そこで終わりませんでした。
自分たちが育てたお米が、遠く離れたカンボジアで誰かの食事になり、避難生活を送る家族や子どもたちを支える。地域で行った農業体験が、国境を越えた人道支援へとつながったのです。
今回の3Re-Forumでは、そのお米が海外でどのように役立ったのかを写真や映像とともに紹介しました。
「自分たちが学んだことが、世界の誰かの役に立っている」
その実感は、児童にとって国際協力を遠い世界の出来事から、自分自身にも関係する身近な行動へと変えるきっかけになります。

カンボジアの難民キャンプで振舞われた牧小のお米
カンボジアの難民キャンプで振舞われた牧小のお米
カンボジアの難民キャンプで振舞われた牧小のお米
カンボジアの難民キャンプで振舞われた牧小のお米
■ 安八町教育委員会の「PEACEうちわ」がネパール・ルワンダへ--日本文化が世界の教室をつなぐ
安八町では、教育委員会が主催する取り組みを通じて、子どもたちが平和への願いを込めた「PEACEうちわ」を制作してきました。
日本の伝統的な生活文化であるうちわに、子どもたちが絵やメッセージを加えた作品です。
これらのうちわは、なかよし学園の海外教育活動を通じてネパール、ルワンダへ届けられ、現地の授業や文化交流で活用されました。

ルワンダに届いたPEACEうちわ
ネパールに届いたPEACEうちわ
日本の子どもたちがつくったうちわを手に取り、そこに描かれた絵やメッセージを通じて、日本の暮らしや文化を学ぶ海外の子どもたち。言葉が違っても、絵や形、手づくりの作品を通じて互いを知ることができます。
重要なのは、うちわという「物」を届けたことだけではありません。日本の子どもたちが相手のことを思って制作し、海外の子どもたちがそれを使って学ぶことで、人と人とのつながりが生まれたことです。
普段の授業や工作でつくられる作品にも、使い方を工夫すれば世界の教育現場で役立つ可能性があります。安八町の取り組みは、地域の文化や子どもたちの表現活動を国際教育の教材へと変えた実践例となっています。

それぞれの思いがこもったPEACEうちわ
■ 東安中学校の合唱がウクライナ・ネパールへ--歌声が日本語と日本文化を伝える
安八町立東安中学校では、合唱という学校の特色を生かした国際交流が進んでいます。
なかよし学園の講演をきっかけに、生徒たちは自分たちの学校で大切にしている合唱を世界の同世代へ届ける活動に取り組みました。
制作された合唱映像はネパールやウクライナへ送られ、日本語や日本文化、学校生活を紹介する教育教材として活用されています。

ネパールの教室で活用された安八町東安中学校の合唱ビデオ
ウクライナでは、ロシアによる侵攻が長期化し、空襲警報や避難生活の中で学び続ける子どもたちがいます。なかよし学園は2026年9月、首都キーウや西部リビウの学校・地下シェルターなどで教育活動を実施し、日本とウクライナの子どもたちをつなぐ交流を進めました。
そのような状況にある子どもたちに、日本の中学生が仲間と声を合わせて歌う姿を伝えることには、文化紹介以上の意味があります。
遠く日本にも、同じように学校へ通い、仲間と学び、未来を考える同世代がいることを知る。互いの存在を身近に感じることは、国や文化の違いを越えた相互理解の第一歩となります。
食料や文房具だけが国際協力の手段ではありません。歌や映像、学校での活動そのものも、世界の誰かの学びを支える力になります。
東安中学校の生徒たちは、自分たちの日常の中にあった「合唱」を使って、国境を越えた平和活動を実現しました。

ウクライナで行われた日本文化の授業
■ EXPO FUTURES AWARD 2026「平和と人権」グランプリ--子どもたちの地道な実践が評価された
今回の3Re-Forumでは、なかよし学園が2026年10月12日に開催された「EXPO FUTURES AWARD 2026」で、「平和と人権」部門グランプリとなるテーマ特別賞を受賞したことも報告しました。
受賞したのは、なかよし学園の「世界の子どもが未来を共創する。いのち響き合う平和教育モデル」です。

授賞式の様子
EXPO FUTURES AWARD 2026は、大阪・関西万博から生まれた問いや挑戦を引き継ぎ、万博閉幕後もより良い社会の実現に向けて取り組みを続ける人や活動を表彰するアワードです。
今回評価されたのは、世界の困難な地域へ一方的に物資を届ける支援ではなく、日本の子どもたちが日常の学びを通じて世界の課題に関わり、海外の子どもたちと互いに教え合い、学び合う教育の仕組みでした。
なかよし学園は、全国50校を超える学校と世界11カ国を結び、児童生徒が制作した教材や地域資源を海外の教育現場で活用し、その反応や成果を再び日本の学校へ届ける活動を続けてきました。
安八町の牧小学校、東安中学校をはじめ、地域の子どもたちが行ってきたお米づくり、ものづくり、合唱などの取り組みも、この教育モデルを支える大切な実践です。また、養老町の人権教育をネパールへ届け、現地の子どもたちの声を再び高田中学校へ還元した活動も、国境を越えた学び合いの一例となっています。

ネパールで作成した養老町高田中学校の人権ツリー
受賞を紹介する中で、中村代表が伝えたかったのは、グランプリという栄誉そのもの以上に、こうした子どもたち一人ひとりの行動が、世界で評価された教育モデルを支えてきたということでした。
受賞を伝える講演の中で、児童が賞状やトロフィーを手にする場面も見られ、世界へ平和を届ける活動の成果を子どもたち自身と分かち合う機会となりました。

「一緒に」受賞した賞状とトロフィーの重みを児童にも実感してもらった
国際的な評価を受けたから活動が始まるのではありません。これまで学校や地域で積み重ねてきた実践があったからこそ、今回の受賞につながりました。
この受賞は、なかよし学園だけでなく、日本全国の児童生徒、教職員、地域の協力者、そして海外の子どもたちや現地パートナーとともに築いてきた成果です。
【参考:EXPO FUTURES AWARD 2026受賞リリース】
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000164.000166170.html
■ 3Re-Forum--世界から帰ってきた学びが、次の平和活動を生み出す
11月2日の牧小学校では、これまで海外で活用された安八町の教材や支援活動をフィードバックするとともに、中村雄一代表がカンボジア、ネパール、ルワンダ、ウクライナなどの現場で見てきた世界の現状を紹介しました。
3Re-Forumは、Return(還す)、Reflect(振り返る)、Redesign(再設計する)の3段階で構成される学びの仕組みです。
日本で制作した教材が海外でどのように使われたのかを伝え、児童生徒が自分たちの行動を振り返り、その経験を次の活動へつなげます。

安八の教材が活用された様子を聞く児童たち
安八の教材が活用された様子を聞く児童たち
今回の講演では、「もし今、戦場の子どもたちに何か大切なものを届けるとしたら、あなたは何で笑顔をつくりますか?」という問いを児童たちに投げかけました。
また、戦争が起きた時に自分ならどうするか、戦争を止めるために何ができるかなど、簡単には正解を出せない問題についても考えました。
子どもたちが目指すのは、世界の問題を知識として理解することだけではありません。自分が好きなことや得意なこと、学校で学んでいることを使って、誰かのために行動することです。
今回、EXPO FUTURES AWARDの受賞報告を行ったことも、子どもたちが自分たちの活動の意味を振り返る機会となりました。
世界で使われた学びが教室へ戻り、子どもたちの自信となり、そこから新しい行動が生まれる。その循環を継続することこそ、3Re-Forumの目的です。
■ 養老町・高田中学校でも始まった新たな挑戦--創立80周年講演から次の学びへ
同日、中村雄一代表は養老町立高田中学校を訪問しました。
養老町では、人権教育を基盤とした「世界とつながる学び」が進められています。
2026年6月には、養老町教育委員会から託された人権作文集『家族の絆』がネパールの学校へ届けられ、現地の児童生徒が家族や平和への願いを花びら型のカードに記す「なかよし人権ツリー」を制作しました。

高田中学校の人権ツリー
その後、ネパールで生まれたメッセージが養老町へ戻り、10月2日の高田中学校創立80周年記念講演会では、日本の生徒たちも自分の思いを加えて、大きな人権ツリーを完成させました。
また、Global Context & Communication Lab(GCC Lab)を通じて、生徒たちは自分たちの普段の学びを世界の課題と結びつけ、海外へ発信する方法について考えました。
講演から約1か月が経過した今回の訪問では、学校で新たな取り組みが始まっていることが報告されました。
生徒たちは現在、普段の授業の中から「世界とつながる要素」を探し、それを海外の子どもたちへ届ける教材へ変える活動に取り組んでいます。
国語、社会、理科、美術、音楽など、日本の学校で学んでいる内容には、海外の同世代へ伝えられる知識や文化が数多くあります。
「学校で何を学ぶか」から「学んだことを誰のために使うか」へ。
高田中学校では、これまでの人権教育を土台として、生徒たち自身が世界とつながる方法を考え、実践する段階へ進み始めています。
■ 一人の生徒が自ら制作した折り紙の手紙--世界平和への小さな一歩
今回の高田中学校訪問では、なかよし学園の活動に強い関心を持った一人の生徒が、自主的に制作した折り紙の手紙を中村代表へ手渡しました。
作品には、日本の伝統的な着物や折り鶴、桜、もみじ、あじさい、チューリップ、雪の結晶など、日本文化や四季を象徴するさまざまな折り紙が使われています。
それぞれに日本語と英語による説明が添えられており、海外の人にも日本の文化を知ってもらいたいという工夫が施されていました。
高価な材料や特別な技術を使った教材ではありません。しかし、そこには「自分にも世界の誰かのためにできることがある」という思いが込められています。
世界の問題を知って終わるのではなく、自分にできることを考え、実際に作品をつくって行動する。この小さな一歩こそ、なかよし学園が「世界とつながる学び」で目指している主体性です。
託された折り紙の手紙は、今後の海外教育活動の中で、日本文化を紹介する教材として活用していく予定です。

生徒が自主作成した折り紙レター
■ サプライズ訪問で中村代表が校内放送に出演--ウィンザー城とウクライナの活動を報告
高田中学校への訪問は、生徒たちには事前に知らされていないサプライズとなりました。
中村代表はお昼の校内放送に特別出演し、10月26日に英国ウィンザーで開催されたICCC Windsor Councilでの発表や、9月にウクライナで行った教育・平和構築活動について報告しました。
ウィンザーでは、なかよし学園が世界各地で実践してきた教育を通じた平和構築について発表。現地の文化や人々の主体性を尊重し、ともに解決策を生み出すAdaptive Peacebuilding(適応的平和構築)の考え方を紹介しました。
また、戦時下のウクライナで行った地下シェルターでの授業や現地の子どもたちとの交流についても伝えました。
自分たちの学校で学んだことが、世界の教育現場で役立つ。そして海外の経験が再び学校へ戻ってくる。
中村代表は放送を通じて、これからも高田中学校の生徒たちと一緒に世界平和をつくっていこうと呼びかけました。

ウクライナでの活動の様子
ウィンザー城での講演の様子
■ なかよし学園代表・中村雄一コメント
今回、安八町と養老町を訪問して改めて感じたのは、子どもたちは世界平和をつくる力を持っているということです。
牧小学校のお米がカンボジアで炊き出しに使われ、安八町のうちわがネパールやルワンダに届き、東安中学校の合唱がウクライナの子どもたちの学びにつながっています。どれも普段の学校生活の中にあるものです。でも、それを誰かのために使おうと考えたことで、世界とつながる平和活動になりました。
今回、EXPO FUTURES AWARD 2026で『平和と人権』部門グランプリを受賞することができました。でも、僕はこの賞をなかよし学園だけがいただいたとは思っていません。全国の学校で教材をつくってくれた子どもたち、一緒に考えてくれた先生方、世界でその教材を使ってくれた子どもたち、みんなで受賞した賞だと思っています。
だからこそ、受賞の喜びを子どもたちに伝えたかったんです。みんなが一生懸命考えてつくったものが、本当に世界で役に立ち、その活動が社会から評価された。そのことを知ってほしかった。
高田中学校では、一人の生徒が自分から折り紙の手紙をつくって渡してくれました。僕はこういう行動が本当にうれしいです。世界の問題を知って『大変だな』と思うだけでなく、『自分にも何かできる』と考えて動いてくれた。これこそ教育が持つ力だと思います。
世界平和は、政治家や国際機関だけがつくるものではありません。自分と違う誰かを知り、相手のことを考え、自分が持っているものを使って何かをする。その小さな行動の積み重ねが、人と人との信頼をつくります。
安八町と養老町の子どもたちは、すでにその一歩を踏み出しています。これからも一緒に世界へ平和を届けていきたいと思います。

ウィンザー城にて。なかよし学園の平和活動はこれからも続く
■ 今後の展開--岐阜県から世界へ、そして次の世代へ
なかよし学園は今後も、安八町と養老町の学校・教育関係者との連携を進め、児童生徒が日常の授業や地域活動から生み出した教材を世界の教育現場へ届けていきます。
安八町では、これまでの米づくり、ものづくり、合唱などの取り組みで得られた海外からのフィードバックを次の探究活動に生かし、子どもたちが主体的に国際協力へ参加できる学びを広げます。
養老町では、高田中学校で始まった教科横断的な教材制作や人権教育の国際交流を通じ、生徒自身が世界へ伝えたいことを考え、形にする活動を進めていきます。
なかよし学園が目指すのは、世界の問題を知る子どもを増やすことだけではありません。世界の誰かのために、自分ができることを見つけ、実際に行動できる子どもを育てることです。
EXPO FUTURES AWARD 2026の受賞を一つの励みとしながら、これからも地域の学校で生まれる小さな一歩を大切にし、岐阜県から世界へ、そして世界から再び岐阜県へと学びが循環する教育を続けていきます。
■ 本件に関するお問い合わせ先
特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
E-mail:peace.office@nakayoshigakuen.org
写真素材・取材対応が可能です。
掲載時の写真クレジット:(C)なかよし学園プロジェクト