スポーツナビ株式会社では、さまざまなスポーツ団体の広報・PR・情報発信に焦点を当て表彰する「スポーツPRアワード」を開催しています。
本企画は、優秀な施策を讃えるとともに、応募いただいた数多くの事例を競技・団体の垣根を超えて共有・インプットすることで、日本スポーツ界の更なるDX化の推進に寄与することを目的に2019年より開催しています。
第6回目となった「スポーツPRアワード2024」では、審査員として日本トップリーグ連携機構会長の川淵三郎様をはじめとする豪華審査員の皆様にご参加いただき、最優秀賞として三重ホンダヒート様(ソーシャルグッド賞)、優秀賞として川崎フロンターレ様(ユナイテッド賞)、全日本空手道連盟様(コミュニティ賞)、千葉ジェッツふなばし様(ソーシャルメディア賞)、徳島インディゴソックス様(エコシステム賞)を選出致しました
■「スポーツPRアワード」とは
スポーツPRアワードは、さまざまなスポーツ団体の広報・PR・情報発信に焦点を当て表彰するものです。
スポーツ団体から2024年に実施したPR(広報、マーケティング含む)施策を募集し、優秀な施策を讃えるとともに、応募いただいた数多くの事例を競技・団体の垣根を超えて共有・インプットすることで、日本スポーツ界の更なるDX化の推進に寄与することを目指しています。
■「スポーツPRアワード」審査基準
入場者数、売上、フォロワー、会員数などの実績、目新しさなどの新規性、SNSやサポーター間で盛り上がったなどの話題性、他社にはない独自施策などのユニークさ、人、モノ、お金、時間のコストパフォーマンスの観点から、審査員に審査をしていただきました。
■「スポーツPRアワード 2024」優秀賞 審査員
- 川淵三郎様(一般社団法人日本トップリーグ連携機構会長)
- 村井満様(公益財団法人日本バドミントン協会会長)
- 高橋義雄様(早稲田大学スポーツ科学学術院教授)
- 田中ウルヴェ京様(スポーツ心理学者/博士 ソウル五輪アーティスティックスイミング・デュエット銅メダリスト)
- 大山加奈様(元女子バレーボール日本代表)
■受賞施策のご紹介
◆最優秀賞
ソーシャルグッド賞
三重ホンダヒート 社会で輝く「人」を育てる!本気のHEAT授業
【取組内容】
本田技研工業株式会社は新入社員研修で実施するラグビーを活用した「チームワーク・主体性」を学ぶ内容を小学校教育向けに展開。ラグビー憲章【品位・情熱・結束・規律・尊重】を取り入れ、チーム戦を通じてコミュニケーションや仲間の大切さ、社会性を育む授業を実施されました。選手と共に勝負を繰り返し、振り返りと工夫を重ねることで「ONE TEAM」を醸成。授業の最後には「いじめ撲滅」寸劇を行い、「嫌なことをしない、させない、許さない」をテーマに違いを尊重する大切さを伝え、いじめ防止活動へ繋げました。過去3年間で計88回、6,833名が参加し、2024年は35回2,679名が受講。授業はパラサポWebなど複数のメディアで紹介され、実施校アンケートでも満足度100%を達成されました。先生・児童の行動変容にも効果が見られ、地域教育への貢献が高く評価されました。
【審査員(川淵三郎様)のコメント】
三重ホンダヒートは、選手が子どもたちとチームを組み、共に戦いや学びを共有する活動を行い、6,833名もの子どもたちを対象にラグビーの規律や情熱、インテグリティといった重要な価値観を伝えスポーツマンシップを育むとともに、選手自身も指導を通じて自己成長を遂げられました。この活動は単に子どもたちに教えるだけでなく、選手がラグビーの本質を改めて自覚するきっかけにもなっており、チームや地域社会に大きな影響を与えています。こうした取り組みは子どもたちの成長を支えると同時に、スポーツの意義を広める重要な役割を果たされました。
【受賞コメント(普及/育成スタッフ 上村素之様)】
ラグビーの認知度は野球やサッカーと比べてまだまだ低く、新規の観客の獲得には苦労しています。集客のための草の根活動として他の活動をしていたのですが、小学校は本来、輝く人たちを育てるための場だと気づき、私たちの活動を通じて子どもたちも先生たちも選手たちもハッピーになれば試合にも来てくれると思ってこの活動を始めました。学校で選手たちの話を聞いた子どもたちが家庭でヒートの話をし、家族で試合に来てくれることにも期待しています。実際、訪問先の小学校にはチームオリジナルのナップザックをプレゼントしているのですが、子どもたちがそのナップザックを持って試合やイベントに訪れ、選手たちにサインをもらっている光景をよく目にします。
チームに所属している選手たちは日本一の活動をしてくれていると思いますし、取り組む姿勢はチームの誇りです。その自慢の選手たちが躍動する試合を三重まで是非観に来ていただきたいです!
◆優秀賞
ユナイテッド賞
川崎フロンターレ 【全社横断プロジェクト】平日ナイター集客施策「ワルナイトカーニバル」
【取組内容】
平日水曜日という集客が最も難しい試合に向け、社内部署横断プロジェクトを結成。「サボってこい」をキーワードに、クラブ史上初の公式マスコット・ワルンタを主役にした「ワルナイトカーニバル」を企画されました。通常より1か月早い、試合2か月前から告知を開始し、ファン・サポーターへの共感を呼ぶストーリー性と多彩なコンテンツ(配布物、ゲスト、イベント、コラボグッズ)で興行価値を向上させました。さらに、プロモーションを定期的に実施することで飽きさせない工夫を盛り込み、難しい平日開催にもかかわらず来場者数は20,720人を達成。売上も大幅に伸長し、クラブ一丸で取り組んだ成果を示されました。
【審査員(高橋義雄様)のコメント】
川崎フロンターレの「ワルナイトカーニバル」は、キャラクターやスタッフ全員が参加する全社的なPR活動が特徴で、平日のナイターにもかかわらず2万人超を動員する成果を上げました。サッカー文化では珍しいキャラクターを活用したPR戦略は、スポーツ競技を超えた発想として高く評価されます。特に、スタッフが映像に出演し、マンガ調のユニークな手法で自らの活動を伝える姿勢は斬新で、クラブ全体が一体となりファンと繋がる努力が感じられます。この活動は新たなPRの可能性を示し、スポーツ界にとって貴重な事例になられたと思います。
コミュニティ賞
(公財)全日本空手道連盟 KARATE WEEK
【取組内容】
公益財団法人全日本空手道連盟は「KARATE WEEK」として、第24回全日本少年少女空手道選手権大会、第20回全日本パラ空手道競技大会、第三回全日本空手道体重別選手権大会を同期間・同会場で開催。種目を超えた興味関心を促し、地域活性化や運営コスト削減を実現されました。大会テーマに「空手が繋がる日」を掲げ、空手道の認知拡大とコミュニティ形成に貢献。パラ空手体験会では、子どもたちがデフ空手やSDGsへの理解を深め、観客誘導により体重別大会とパラ大会の観客数増加にも成功され、さらに、設営コストの圧縮やスタッフ数20%削減など効率的な運営を達成し、空手競技のインクルーシブな側面を広くアピールされました。
【審査員(田中ウルヴェ京様)のコメント】
全日本空手道連盟の「KARATE WEEK」は、有用性、汎用性、話題性の3点で高く評価することができます。有用性では、コストパフォーマンスを重視した取り組みが効果的に実現されています。汎用性においては、他競技が同様のプロセスを採用することで、多様性やダイバーシティを子どもや社会全体に広める可能性を示しました。さらに、話題性では、ダイバーシティの重要性をスポーツを通じて訴え、障がい者スポーツや健常者スポーツを問わず、誰もが楽しみ、支え合える場を提供する点で、社会的課題解決のモデルとなっています。
ソーシャルメディア賞
千葉ジェッツ 撮影は2分!選手ファーストで登録者+10万を達成したYouTube施策
【取組内容】
千葉ジェッツ公式YouTubeチャンネルの運営をグループ会社MIXIと連携して実施。過密な試合スケジュールやEASL(東アジアスペシャルリーグ)参加の中で、エンゲージメント強化と新規ファン獲得を目指した動画を投稿されました。YouTubeショートを活用し、撮影時間を短縮することで安定的なコンテンツ投稿を実現。偏っていた視聴層を改善し、幅広い層のファン獲得に成功されました。流行りのミームやYouTuberとのコラボ、選手稼働なしの動画など、多彩なチャンネル設計による魅力を向上され、Bリーグ全体の発展に向けて2024年には他チームに先駆けたノウハウを250本以上無料公開されました。選手出演コンテンツやクリエイティブな動画制作を通じ、ファン層の拡大とリーグの価値向上に貢献されました。
【審査員(大山加奈様)のコメント】
千葉ジェッツのYouTube施策は選手ファーストを徹底し、撮影時間を2分に制限しながら登録者数を10万人以上増加させ、新規観戦者の53%がYouTubeをきっかけとするという驚異的な成果を上げました。新規・既存ファン双方が楽しめる戦略的なコンテンツを安定的に投稿する形は、スポーツチームの理想的なモデルです。また、そのノウハウをBリーグ全体に共有し、業界全体の発展に寄与している点も高く評価されます。この取り組みは他のスポーツチームにとっても模範となるべき成功事例です。
エコシステム賞
徳島インディゴソックス 距離を超え、徳島から繋ぐ未来
【取組内容】
徳島インディゴソックスは「徳島から夢追う人を増やす」をミッションに、リモートインターン制度を展開。全国約25人の大学生インターンがSNS更新や動画制作、ファンクラブやグッズ企画を担当し、球団運営に参加しました。週1回の全体MTGで情報共有しながら、スキルアップと人材不足解消を同時に実現。YouTube配信の速報投稿やハイライト作成、学生のアイデア採用により成果を創出されました。さらに、長期休暇を利用してインターン生が徳島に訪問し、地域経済の活性化にも貢献。動画再生数1億6000万回、YouTube登録者数1万人突破といった実績を残し、スポーツ業界への即戦力人材も輩出する成功例となりました。
【審査員(村井満様)のコメント】
徳島インディゴソックスのリモートインターン活動は、全国25名の学生がPRをリモートで実施し、1億6000万回の動画再生や1億人超のリーチを達成するなど大きな実績を上げました。この期間中、YouTube登録者数が1万人を超え、学生たちは社会やスポーツ、興行の奥深さを学ぶ貴重な経験を得ました。一方、クラブ側も学生の力で社会とのコミュニケーションを大きく前進させ、両者にとってウィンウィンの成果となりました。こうした活動は、学生とスポーツ界が協力して新たな価値を創出する好例であり、他の団体にも学ぶべき点が多いと感じています。受賞された皆様、おめでとうございます。