
企画展「民藝 MINGEI-美は暮らしのなかにある」が現在、千葉県立美術館(千葉市中央区中央港)で行われている。
同館によると「民衆的工藝(民藝)」とは、大正時代の思想家柳宗悦(やなぎむねよし)が生活の中にある日用品に美を見出し、職人の手仕事に思いを寄せることを説いた思想のこと。同展では「衣・食・住」をテーマに、暮らしで用いられてきた約150点を展示する。
展示会場は3つに大別。第一章では柳が興した「日本民藝館」で1941年(昭和16)に開催された「生活展」を再現する。第二章では、柳が朝鮮半島、中国、欧米の各国を訪れ、収集した手仕事の日用品を展示する。第三章では、柳の没後も広がった民藝運動を紹介。大分県の小鹿田(おんた)焼き、兵庫県の丹波布、岩手県の鳥越竹細工などの作品と作り手のインタビュー、制作風景の紹介や「これからの民藝スタイル」をインスタレーションで展示する。
同展は、2023年7月に大阪から始まった巡回展の8か所目で最後の会場。柳が20代後半に我孫子市に滞在した縁から、千葉会場のみ「民藝運動前夜-我孫子時代の柳宗悦 朝鮮美術と白樺派」の展示コーナを特別に設ける。
貝塚健館長は「各会場で展示方法を試行錯誤してきた。巡回展の最後の会場として、作品の魅力を熟知したスタッフにより、作品の魅力を引き立てる一番良い展示ができたと思っている。より多くの人に作品展を楽しんでもらいたい」と話す。
関連企画として同館の講堂で5月11日に本展覧会を監修した美術史家の森谷美保さんを迎え、講演会「暮らしのなかの民藝」を開く。定員180人で事前申込制、無料。同館のホームページで受け付ける。
同美術館の開館時間は9時~16時30分。入館料は、一般=500円、高校・大学生=250円、中学生以下無料。